交雑種をご存知ですか?
カブクワ業界ではこの言葉にあまりいいイメージはありません。

交雑種とは別種または別産地の同種が交配して生まれたハイブリッド個体のことです。
日本のオオクワガタと中国のホペイオオクワガタを交配させれば交雑種、
佐賀産のオオクワガタと北海道産のオオクワガタを交配させれば交雑種になります。


放虫禁止を皆で称えるのは、その地域固有の種(血)を守るためにあるわけです。


「某ショップがオオクワガタを森に放す企画をやっている」ことや、「サタンのペアを買ったら♀がどうにもネプチューンっぽい事案」等、
交雑種を無意識のうちに生み出してしまう要因が、この「カブクワ生き虫業界」には結構あります。


今回この話をしようと思ったのは私のInstagramにて、ドイツ人の方から
「雑種断固反対~!!絶対に売るなよ!」
的なメッセージが来たからです。

ちなみにその写真とは、
IMG_2503

どちらもクビワオオツノハナムグリという種類なのですが、
♂ インマキュリコリス
♀ ウガンデンシス

と、別な分類に入ります。
苗字が一緒で名前が違う、くらいのノリです。


私は、「いきなり飛ばしてくるな…」と思いつつも、感情に任せてもいいことがありませんので、
(彼は種の保存に熱心ないい人なんだ…)と思いながら、

「勿論野外における人為的な交雑はダメだけど、雑種を雑種として売る(楽しむ)ならいいと思う」と言うと、
「What?」
…初What喰らいました。
「雑種を買った人が、偽って純血種として売るかもしれないだろう」
とのこと。
これは一理ある。そこで、質問してみました。

「全く同じ体色のウガンデンシスとインマキュリコリスがいました。あなたはどうやって区別しますか?」
と。


すると、
「体色以外で判断出来ない」
と言われました。

なので、
「あなた自身区別出来ていないんだったら、なぜ雑種を売ることをそこまで否定するの?」
と返すと、

彼は
「区別は付けられないけど、このように明確に分けられているんだ!」
と言ってウガンデンシスからインマキュリコリス、オーベルチュールなどが載っている分布図を送ってきました。


「だからそれは野外の話だよ。」
と、飼育に関する交雑種のまともな答えは帰って来ませんでした。
でも頑なに断固反対という強い姿勢で、取り付く島もない状態で。

勿論学者が野外の個体をよく観察すれば、形状の細かな違いはあるでしょうけどね。


最後に
「日本だとウガンデンシスはもう何年も野外品が輸入されてないんだけど、ドイツはどう?」
と聞くと、


「ドイツも、インマキュリコリスのみでウガンデンシスの輸入は何年もない。
ウガンデンシスの飼育個体は出回っているけど、雑種としては売っていない。
ウガンデンシスが輸入されたのはずっと前だから、別の種の血が交じってるかもしれないけど、皆ウガンデンシスの純血として売っている
と。


「それさらにタチが悪いやつじゃん!!!」
ということで、ドイツも日本とかなり状況が似ているみたいです。


結局このドイツ人には1ミリも納得してもらえずでしたが、最後に私の交雑種についての意見を。

野外環境と隔絶された飼育において(野外に一切影響を受けない環境で)、交雑種を一切禁止とするのは勿体無いと思います。

グラントシロカブトとヘラクレス・ヘラクレスの交雑等、野外では絶対にありえないような交雑種も、
飼育によって作ることが出来ます。

その飼育だけに許された特権により、「どの部分にどの特徴が現れるのか」を観察することで、遺伝について、知見を得られるのではないでしょうか?

一番の問題は、交雑種を作って売る事ではなく、交雑種を純血種として偽って売る人がいること。

交雑であることに見分けがつかない人が、交雑種断固反対という意味はあるのか?自分の目で判断出来ない人は、雑種どうこうを言える立場なのか?

誰かから仕入れた飼育個体が完全なる純血なんていう保証は全くない。飼育個体には交雑かも知れないことも加味できる寛容さが必要。

アマゾンツノガエルとクランウェルツノガエルの交雑種として、ファンタジーツノガエルが流通しているように、交雑によって新たな価値を見出すこともある。

交雑がダメだと言うのなら、インブリードが許されていることについてはどうなのか?
野生で見たら人為的なインブリードは人為的な交雑と同じようにタブーなはずだ。
飼育と野生の線引きをもう一度考えて見て欲しい。

以上です。
まあこの問題は意見が別れる所でしょうね。

ヘラクレス・ヘラクレスは、5年前はドミニカ産の個体を目にすることもありましたが、今では全くと言っていいほど見かけなくなりました。
誰かがどこからが産地を偽り始めた証拠です。
オオクワガタもそう。
純血久留米血統なんて言っても、誰かに渡った時に別産地と交ぜている可能性なんてありまくりです。

でも皆さんあまり気にしないじゃないですか。
だってそんなこと気にしなくても楽しく飼育出来ているわけですし。

ある程度そういう怪しいところは目を瞑れる寛容さも飼育においては必要ってことで、終わります。